火垂るの墓で
節子が大切に持っているドロップ缶。
今回はそのドロップに込められた
意味や想いを深掘りして行きたい
と思います。
火垂るの墓のドロップはサクマ式ドロップス
火垂るの墓に登場する
節子がいつも持っているドロップ。
あれは実際にスーパーや
コンビニで売っていた
「サクマ式ドロップス」です。
よく似た名前で「サクマドロップス」
と言うのがありますが
これは火垂るの墓に出て来る
ドロップではありません。
「サクマ式ドロップス」は
赤い缶で
「サクマドロップス」は
緑の缶です。
この2つは
別の会社が作っているのですが
なぜか商品名が似てますよね。
それは元々1つの会社だったからです。
元々は1908年に創業の
「佐久間惣次郎商店」と言う会社で
「サクマ式ドロップス」を作っていました。
1913年に缶入りになったそうです。
1920年「佐久間製菓」に社名を変更。
1938年に山田弘隆が社長となります。
1944年の企業整備令により廃業。
戦況悪化に伴う物資不足で
砂糖供給が滞ったためだそうです。
※企業整備令と言うのは
第二次世界大戦中に公布された勅令で
商工大臣に事業の譲渡・廃止・休止・禁止を
命じる権限を与えたものだそうです。
戦後になると
「佐久間製菓」の社長だった
山田弘隆の三男:山田隆重が
1947年に「サクマ製菓」と言う
会社を新しく立ち上げます。
こちらは新会社です。
そして1948年に「佐久間製菓」の
番頭役だった横倉信之助と言う人が
「佐久間製菓」を再興します。
2つの会社は
「サクマ式ドロップス」の商標を巡り
訴訟で争い「佐久間製菓」が取得します。
「サクマ製菓」は
「サクマドロップス」を使用することに。
※現在では両社の歩み寄りがあり
「サクマ式ドロップス」の商標権は
両方の会社が共同で持っている
と言うことです。
何と言うか
お家騒動と言う感じですか。
「サクマ式ドロップス」と
「サクマドロップス」は
缶のパッケージだけでなく
味や形も若干違うようです。
しめじこが馴染みがあるのは
緑の方かなと思っていましたが
チョコ味が強烈な印象だったので
よく食べてたのは節子のと同じ
「サクマ式ドロップス」だ!
赤い缶だった気がする
と思い出しました。
子供にしては珍しく
ハッカ味が大好きでした。
火垂るの墓のドロップの意味
火垂るの墓にの節子が
いつも持っていたドロップ缶。
あれって何か意味があるのでしょうか。
清太が節子に
「何食べたい?貯金全部降ろして来る」
と言うと節子は
「天ぷらにな、お造りにな、ところてん
アイスクリーム、後またドロップ舐めたい」
と言います。
天ぷらやお造りに並んで
ドロップが入っているので
お菓子、おやつと言うより
「食」の象徴ではないかと
思いました。
ドロップは実は高級品でした。
当時の物価は
ドロップ30円
公務員の初任給75円
お米10㎏6円
コーヒー1杯5円
映画館1円
と言う感じです。
ドロップめちゃくちゃ高いですね。
それだけお砂糖が貴重だった
と言うことでしょうか。
それが戦争で更に高騰し
手に入らなくなったようです。
ドロップは「食」だけでなく
贅沢なものだったり
幸せや希望の象徴だったりを
意味していると思います。
そして
ドロップを舐めている
節子の笑顔はこちらまで
心が温かくなるような
可愛らしい笑顔なのですが
そのロップが少しずつ
なくなって行くのは
清太と節子の生活が
追い詰められ希望が
失われて行く様子を
意味しているようにも見えます。
また戦争で砂糖が高騰し
製造元である「佐久間製菓」が
廃業したことでドロップが
入手困難になったことは
戦争の悲惨さや
失われた日常を
意味しているのかも知れません。
火垂るの墓のドロップの意味は
単なる「お菓子」と言うだけでなく
幸せや贅沢や希望の象徴だったものが
少しずつ追い詰められ
日常が失われて行くと言う
戦争がもたらす悲しい現実を
意味しているように思います。
火垂るの墓のドロップ水の味は?
火垂るの墓で節子が
ドロップ缶に水を入れて飲み
「味がいっぱいする」と言う
シーンがありますが
やってみた人は居ますか?
しめじこは子供の頃に
ドロップ水をやったことがあります。
微かにドロップの風味がしますが
はっきり言って美味しくないです。
そんな味いっぱいしないし。
やり方はドロップ缶に
少し欠片が残った状態で
水は少しだけ入れます。
ごくごく飲めるくらい
入れたらダメですよ。
ほんのりとドロップの
味がするのですが
ドロップ水は
今の子供達にとっては
激マズだと思います。
今の子供達に
お勧めしたいのは
ドロップ水よりも
ポップキャンディアイスです。
不二家が公式で
お勧めしているのですが
製氷皿やアイスの容器に
ポップキャンディを入れて
水を入れ凍らせる。
と言うものです。
棒付きのままね。
お勧めされている水の量は
15㎖~20㎖です。
ポップキャンディの大きさで
水の量は20㎖程度なので
欠片しか入っていないような
ドロップ水だと水の量が少しでも
やっぱり薄味だと思います。
節子は美味しそうにしていましたが
様々なお菓子が溢れていて
濃い味に慣れてしまった
今の時代の子供にとって
ドロップ水は美味しくない
と思います。
ファスティングとかしてる時に
ドロップ水を作ると
もしかしたら美味しいと
感じるかもしれませんね。
火垂るの墓のドロップ缶に骨を入れた理由
火垂るの墓の節子は
終盤で栄養失調となり
命を落とします。
清太はその小さな遺体を火葬し
遺骨をドロップ缶に入れました。
もしかしたら
栄養失調だった節子の骨は脆く
ドロップ缶に収まる程度しか
残らなかったのかも知れません。
ドロップ缶に
節子の骨を入れた理由は
節子と離れたくなかったから
ではないでしょうか。
ドロップ缶の中には
節子の遺骨と共に
大切な妹を守り切れなかった
罪悪感や喪失感と言ったものも
一緒に入っていたのでしょう。
或いは節子と過ごした日々。
幸せだった日常。
可愛らしい節子の笑顔なども
ドロップ缶の中に
閉じ込めていたかも知れません。
節子の宝物だったドロップ缶に
節子の遺骨を入れることで
ドロップ缶は形見と言うよりも
清太にとっては節子そのものに
なったのだと思います、
そしてずっと2人で一緒に居る
と言うことを現わしている
と思いました。
火垂るの墓のドロップはどこで売ってる?
火垂るの墓に登場する
節子が持っているドロップと同じ
赤い缶の「サクマ式ドロップス」は
スーパーやコンビニで
普通に売っていました。
節子がパッケージなっている
復刻版もありジブリパークの
「ジブリの大倉庫」で
販売されていたようですが
製造元の「佐久間製菓」が
2023年1月20日に廃業しているため
現在市場からは姿を消しています。
ですがアマゾンや
メルカリなどを利用すると
現在でも入手可能となっています。
結構なお値段になっていますよ。
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