バケモノの子に登場する
かわいい帽子を被った一郎彦。
優等生だったのですが
内に抱える闇を暴走させてしまい
クジラへと姿を変えます。
そんな一郎彦の闇や正体。
最後の戦いとその後の様子。
なぜ「クジラ」だったのか。
と言うのを考察したいと思います。
バケモノの子 一郎彦の声優
バケモノの子に登場する
一郎彦は猪王山の長男で
少年期と青年期で違う声優が
演じています。
一郎彦(少年期)の声優:黒木華
一郎彦の少年期を担当したのは
女優の黒木華です。
闇落ちする前の一郎彦の
純粋で繊細な雰囲気を
よく表現していると思います。
「おおかみこどもの雨と雪」の
雪(少女期)役や
「未来のミライ」の
ミライちゃん役もこなしています。
映画やドラマだけでなく
舞台にCMなどに数多く出演していて
女優としても数々の賞を受賞する
確かな実力を持っています。
一郎彦(青年期)の声優:宮野真守
一郎彦の青年期を担当したのは
大人気声優の宮野真守です。
代表的な出演作は
「DEATH NOTE」の
夜神月役
「機動戦士ガンダム00」の
刹那・F・セイエイ役
「うたの☆プリンスさまっ♪」の
一ノ瀬トキヤ役
「文豪ストレイドッグス」の
太宰治役
「スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の
マリオ役など。
細田守監督の次回作
「果てしなきスカーレット」にも
墓掘り人役で出演しています。
王子様キャラから正統派のイケメン。
コミカルなキャラも闇を抱えたキャラも
何か変なクセの強いキャラも
何でもこなすベテラン声優です。
普段の一郎彦の穏やかなトーンから
内に秘めた闇が爆発した時の激情の叫びまで
「表」と「裏」と言うか「静」と「動」と言うか
相反する感情を強いインパクトで演じていました。
バケモノの子 一郎彦の正体は人間
バケモノの子に登場する
一郎彦の正体は人間です。
一郎彦は猪王山の長男とされていましたが
実は猪王山の実子ではなく九太と同ように
バケモノに拾われ育てられた人間の子供でした。
一郎彦は赤ん坊の頃に
渋谷の裏路地に置き去りにされていて
それを猪王山が見付けました。
一郎彦の正体が人間だと言うことは
周囲にも本人にも言わずに
一郎彦は「猪王山の息子」
として育てられました。
ですが成長するに従って
自分だけ家族と姿が違う
と言うことに不信感を抱いて行きます。
一郎彦は
自分で自分の正体が解らない
と言う状態だったんですね。
父や弟の様に立派な牙や長い鼻が生えて来る
と信じていましたが自分にだけ牙や鼻が生えない。
それが一郎彦のコンプレックスとなり
顔を隠すためにいつも被り物をしているんですね。
バケモノの子 一郎彦の闇
バケモノの子に登場する
一郎彦の闇は
自分がバケモノではない。
と言うところから来ています。
一郎彦は
バケモノとして育てられましたが
父や弟のような牙や鼻にならない。
「自分だけが違う」と言うことが
大きなコンプレックスになり
孤独を感じていました。
一郎彦の闇は
一郎彦の存在意義に関わる深い部分から
生まれて来ているのだと思います。
普段から
自分は何者なのかと
心を揺るがせていた一郎彦にとって
「半端者」として見下していた
熊徹と九太が周囲から認められ
引いては自分よりも
優れた存在となって行くことを
許すことが出来ず心に秘めた
闇を増幅させていきます。
バケモノの子 一郎彦がクジラになった理由
バケモノの子に登場する
一郎彦はクジラに変身しますが
なぜクジラだったのでしょうか?
作中ではタイトルが出た直後の
渋谷の街頭モニターに「クジラ」。
冒頭での蓮の引っ越し準備をしている
段ボールに「白クジラ」の児童書。
図書館で「白鯨」を手にしたりと
クジラに関する伏線が
いくつも貼られています。
そして楓は白鯨について
こんな風に言っていました。
クジラは自分を映す鏡で
主人公は自分自身と
戦っているんじゃないかな
一郎彦がクジラになった理由は
「クジラは自分を映す鏡」だから。
と考えられないでしょうか。
心の闇に囚われてしまった一郎彦と
クジラをリンクさせているのだと思います。
一郎彦の闇を「クジラ」で
表現しているんだと思います。
作中に出て来る小説の「白鯨」が
ベースにになっているのでしょう。
ですが
なぜクジラなのか?
他の悪そうな動物とかでも
(悪そうな動物って何)
一郎彦の闇は表現できたはずです。
一部からは「クジラが意味不明」
と言う意見もあるみたいですが。
なぜ「クジラ」を採用したのか?
これは細田守監督が
「クジラ好き」だからです。
なので
バケモノの子以外の作品でも
「クジラ」が登場しているんです。
時を掛ける少女
サマーうウォーズ
おおかみこどもの雨と雪
未来のミライ
竜とそばかすの姫
全部クジラが登場しています。
何の説明もなくクジラが登場するので
意味不明と思うかもしれませんが
「竜とそばかすの姫」のメインテーマを
作詞作曲した常田大希との対談で
一切説明していないけれど
クジラとオオカミが好き
と語っています。
竜とそばかすの姫は
オープニングから
クジラの登場でしたね。
バケモノの子では
一郎彦の心の闇を
「クジラ」で表現しましたが
サマーウォーズでは
守り神として登場していますし
時をかける少女では
タイムリープする時の
生命の歴史?みたいなシーンで
クジラが登場します。
おおかみこどもの雨と雪では
終盤の机に置かれた本の表紙。
未来のミライでは
ミライちゃんの鼻の下とか。
細田守監督は作品ごとに
様々な思いを込めて
違う描き方をしたクジラを
登場させているのかも知れません。
バケモノの子 一郎彦の最後
バケモノの子に登場する
一郎彦の最後は
闇に飲み込まれ
巨大なクジラへと
姿を変えて大暴れします。
そして追いかけて来た九太と
付喪神となった熊徹の一撃で
一郎彦の胸にある闇が切り裂かれ
解放されます。
一郎彦がクジラへと姿を変える
きっかけになった小説
「白鯨」に登場するクジラは
白い悪魔と呼ばれることが
多いようですが
「神」
「自然」
「運命」
「悪魔」
「キリスト」
など様々なものを象徴として
内包しているそうです。
一郎彦のクジラも
猪王山の息子である
と言うプライドや
父と似つかないことへの
コンプレックスなど
様々な思いが渦巻いていたのかも
知れませんね。
バケモノの子 一郎彦のその後
バケモノの子に登場する
一郎彦はクジラの姿となり
渋谷の街で大暴れし
九太によって
その闇は切り裂かれました。
その後
一郎彦はどうなったのでしょうか。
一郎彦が目を覚ますと
そこはベッドの上で
すぐ傍には介抱疲れか
一緒に眠ってしまった家族の姿。
右手首には赤い紐があります。
九太がかつて楓に結んでもらった
「お守り」です。
映画では
一郎彦のシーンはここまででした。
ですが一郎彦のその後は
小説版で明かされています。
これほどの騒動を引き起こした
一郎彦の処遇をどうするか
渋天街の元老院で会議が行われます。
闇を宿らせえる人間は
本来ならバケモノ界に
居てはならない存在。
その上世界を
滅亡の危機に晒したため
一郎彦は
バケモノ界から追放される
可能性もあったのですが
同じく人間である九太が
自らの闇を克服したこと。
一郎彦の闇とも戦ったこと。
渋天街に受け入れられていること。
などから
「人間だから」と言う理由で
拒絶することは出来ない
と言うことになります。
そしてそもそも
一郎彦を「バケモノの子」として
偽って育てたのは猪王山なので
猪王山が責任を取って
一郎彦をしっかりと育て上げる
と言うことになります
あらためて猪王山の息子として
再出発する一郎彦でした。
って言うか
バケモノ界から追放されても
赤ん坊の頃からバケモノ界に居るから
何処に行くの?って感じですよね。
その後も
家族と共に居られることになり
本当に良かったと思います。
もうあの帽子は必要ないのかな?
いやずっと被っててほしいですね。
可愛いから。
因みにじめじこのアイコンも
よく似た被り物をしていますが
あれは実は被り物ではなく
ウチのボス(猫)が
乗っかっている設定です。
細田守監督がクジラ好き
と言う件については
こちらで少し解説しています。


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